暴走族に恋をする。



「あ、そうだこれ。」


「ん?なにこれ。
……カーディガン?」


「うん。まぁ…快斗のやつ血だらけになっちゃったし…新しいの買ってきたの。」


これを一人で着るのも勇気いるし
……せっかくの、お揃いだしね。


「ありがと。
でもこれ、いつ買った?」


「え?さっき、ここ来る前だよ。」


「ってことは暁斗と?」


「まぁ、そうだけど。」


「ふーん。
……暁斗が桜子ちゃんと出掛けるなんて100万年はえーんだよ!!」


「はぁ?」


……はぁ?だよ、ほんと…
子供ですか、あなたは……


「罰としてジュース買ってきて。俺と桜子ちゃんの!」


「はぁ?だいたい金は」


「俺の財布持ってけ!そこだ!」


「俺のも買って「いいから行け!」


「はいはい、しかたねーな。」


渋々…というわけでもなく、暁斗くんは病室から出ていった。


「快斗、座ってて平気?」


「全然平気!
っていうか背もたれあるしね。
足はまだ動かないけど、全然大丈夫だよ。」


「よかった。
昨日ね、快斗の家に泊まったよ。」


「え?俺んち?」


「おばさんが、うちも女の子がほしかった~って嘆いてて笑っちゃったよ。
……あと、さくらがすごい寂しそうだったよ。」


「さくらかぁ~
あいつずっと俺の周りをうろついてるもんな~。」


「おばさんが、全然構ってくれないっていってたよ。」


「母さんはうざいからな。
どちらかと言えば父さんのが好かれてて、父さんが溺愛してる。
あんなんなのに。」


うん、朝遊んでた。
めちゃくちゃ遊んでた。
満面の笑みでさくらに行ってきますって言ってた。

普段はあんなに大人っぽいのに。
…いや、大人だけどさ。


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