暴走族に恋をする。
「用がすんだならもう行ってください。」
「やだ。」
……やだって…
「…………どうして私に構うんですか?」
こんなに私が雑な扱いをしているのに。
こんなに拒否反応を示しているのに。
「そんなの、好きだからに決まってんじゃん。
LOVEの方で。」
そんなことを言われたら普通は戸惑うのかもしれない。
だけど私の心臓は驚くほど静かだ。
「……それも、他人を喜ばせるための嘘なんでしょ?」
「え、ちが…」
「さっき、早坂さんとキスしてたでしょ?」
「……見てた?」
「あなたは早坂さんのことが好きだから、キスしたんでしょう?」
「ちが…「違うなら、私はあなたを軽蔑する。」
私はそういって、立ち上がった。
「人の気持ちはあなたが思ってるほど、軽くない。
誰かのために必死になにかをしたこと、ある?
誰かを喜ばせるために上手いこといってるかもしれないけど、人の心はそんなことじゃ動かない。」
私はそういって、その場から離れた。
私はずっと頑張ってきた。
誰よりも、いろんなものを犠牲にして生きてきた。
……それでも、お母さんの笑顔を見たのはもう何年も前なんだ。