暴走族に恋をする。



「黒崎くん!」


「……桜子か、なに?」


「どうしたの?元気ないね。」


「…真面目な桜子にはわかんなーよ。」


黒崎くんはそう言ったけど……


「どうしたら大事なもの守れるのかわからない、
……だったり、とか…」


事故に遭った快斗
それをきっかけに無免許運転禁止にしたら多くの人が抜けた、なんてさ

なにが正しいのかわからなくなるよね。


「私、快斗言われたよ。
気持ちは伝えなきゃ伝わらないって。

ゆっきーさんには快斗を変えられたんだから自信もてって言われた。

……私は、大事なものがたくさん黒崎くんが羨ましいよ。
だけどそれをひとつにするのは並大抵のことじゃない。

ちゃんと伝えれば伝わるよ。
それが、総長の努めなんでしょう?」


私のその言葉を、黒崎くんは立ち止まって聞いていた。
……かと思えばいきなりこちらをむいて

「…いっ!、た…」

また、いきなりのデコピン。


「るせぇよ。わかってるっつーの。」


そういう黒崎くんはもうすっかり、いつも通りの黒崎くんだった。


「…私は、あなたたちが好きです。
暴走族でも、あなたたちが好きです。
いつも全力で走ってる快斗が大好きです。

どうか、諦めないでください。
あそこは、快斗が大好きな場所だから。」


歩き出した黒崎くんの背中に、私はその気持ちを込めた言葉を投げた。

それに対してなにも返っては来なかったけど…受け止めてもらうことはできた、かな…?



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