暴走族に恋をする。
こいつはなんだかんだ言いながら、俺のとなりに座った。
「俺1組の大津快斗。快斗でいいし。
だから俺も涼介と呼ばせてもらおう。」
「…名前、桜子から聞いたわけ?」
「そ。」
「まぁ別になんでもいいけど。
俺になんか用?」
「桜子ちゃんと幼馴染みなんだろ?
桜子ちゃんって昔からあんなんなのかなーって。」
「それを聞いてどうするわけ?」
「別にどうもしないけど。
俺は桜子ちゃんのことなんでも知りたいんだよ!」
「……桜子のこと好きなわけ?」
「そうだよ。なんか文句あんの?」
「さっき、違う子にキスしてたろ。」
「あぁ、あれ?
別に特に意味はない。
ただコクられて、断って、そしたら最後にキスしてって言われて、それで諦めるから、ってさ。
ならさっさとキスくらいしちゃって諦めてもらった方が楽じゃん。」
「桜子はそういうやつ嫌いだけど。」
「知ってる。
さっき軽蔑するって言われたし。
俺、今まで本気で誰かを好きになったことなんかなくてさ、本当に適当に女の子と接してきたわけだよ。
でも桜子ちゃんを好きになってからさ、本当に他がどうでもよくなって
優しくしたいのも桜子ちゃんだけで、他にどう思われようとどうでもいいんだよ。
ひどいやつって思われてもいいから、優しくしようとも思わない。
好きじゃないのに思わせ振りなこと言って、思わせ振りなことして、それで相手が傷つこうがどうでもいい。
俺にとってどうでもいいやつだから、別に俺が楽しければ相手の気持ちなんか二の次なわけ。
だから好きじゃないやつでも簡単にキスくらいできるんだよ。
俺が好きなのは桜子ちゃんだから、桜子ちゃんによく思われればそれでいいんだよ。」
「……ふーん。
考え方とか全然まともじゃねーけど、まぁ快斗が桜子のこと本気なのはわかったわ。
でもさ、なんで桜子なわけ?
ぜんっぜん似合ってねーけど。」
「わかんねーよ。
いつの間にか好きになってたんだよ。
好きな人のどこが好きなのか、的確に答えられるやつなんているのかよ。」
「……めちゃくちゃ似合ってねーな。」
「うるせーよ!」
さっさと桜子ちゃんのこと話せよ、ったく。