暴走族に恋をする。



「……俺、治してもまたバイクで事故って同じことするかもよ。」


「仕方ないよ。
だって、暴走族の快斗を好きになっちゃったんだから。」


軽い決意で快斗の彼女になったわけじゃないから。
暴走族だろうがなんだろうが、好きになったからには徹底的に好きでいてやる。


「…快斗が悪いことをしたら怒るのが私でありたいから。
いつまでたってもどうしようもない快斗のそばにいたいから。」


本当に嫌いだったよ。
適当で、基本的なルールも守れない快斗が嫌いだった。

それ以上に、暴走族というものが嫌いだった。


……でも、快斗にも本音というものがあって、負けないくらいの信念があって
暴走族にもいろんなものがあるということも知った。


見た目や肩書きだけで判断できることはないんだって、私は身をもって知ったよ。

快斗や黒崎くんたちの方が、そこらへんで適当に生きてるやつよりも自分の意思をちゃんと持ってる人なんだって

こんなに魅力的な人たちなんだって


人は見た目だけじゃわからないものなんだよね。


「……じゃあ、俺も好きだって気持ちに素直になっていい?」


「え?うん」


私がそう返事をすると、快斗は座ったまま私の手を思いっきり引いた。


「っわ!ちょ!」


おかげで私は快斗にダイブ。
快斗もろともベッドの上に横になった。

そしていつの間にか、私の背中には快斗の腕が回されていた。


「昨日はごめん。
でも、桜子ちゃんが人のために努力を惜しまない人だって知ってたから…」


「……うん。
でも快斗のためなら頑張りたいよ、私も。」


だって快斗は、何度も私にぶつかってきてくれたから。
諦めないで何度も何度も
わたしにぶつかってきてくれたから。


「たとえどうしようもない過去があったって、暴走族やめられなくたって
そんな快斗を、私は好きになったから。」


私がそういうと、快斗はキスをした。


「もう、言わなくていい。
そんな素直に言われるともたない。」


「私と付き合う前の快斗みたいでしょ。」


「……そうだね。
桜子ちゃんもそれだけ、人間らしくなったってことか。」


「ふふ、そうだね。
私もすっかり人間らしくなったよ。」


「ねぇ、俺の怪我とか関係なくさ、俺が嫌になったらちゃんと言ってね。」


「快斗もね。」


「……超好き。
昨日の、全部撤回で。」


快斗はそういって強く強く、私を抱き締めた。



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