暴走族に恋をする。



それからテストが始まって、桜子ちゃんはますます俺と会ってくれなくて

「快斗機嫌悪」

俺の桜子ちゃん不足を笑うゆっきーと共に、テストを終えた俺は今日同じ学科のやつらと飲みに行く。


「あ、快斗
桜子がいるけど」

「えっ!?ど、どこ!!」

「あそこ」


ゆっきーの指先追えば、自販機で飲み物を買う桜子ちゃんがいて


「桜子ちゃん!!」


俺はまた、ぎこちない足で走っていく。


「あ、快斗」


……でも、桜子ちゃんは1人じゃなくて

「どーも」

「…またそいつかよ」


風間夏樹まで、一緒にいた。


「あぁ、うん
ゼミだったから」

「てか今はただの休憩で、また研究室戻るんだけどな」


……そ、ですか


なんつーか、オチケンとかでも腹立つのに
こいつ、絶対桜子ちゃん狙いだから俺の腸が煮えくり返りそうで


「早く戻ろ」


そういってさりげなーく桜子ちゃんの肩に触れるこいつの手を、俺はいつの間にか掴みあげていた


「俺の女なんだから、触ってんじゃねーよ」

「か、快斗!」


桜子ちゃんの焦った声が聞こえるけど、風間夏樹は表情を全く変えず
暴走族で不良やってた俺がこんなにも睨んでるっつーのに
全然ビビることすらなかった


「男の嫉妬とかダサすぎ」


そう、俺をバカにする余裕すらある。


「は?」

「だいたい、彼氏なら彼女の勉強の邪魔すんなよ」

「……誰が邪魔するかよ
勉強と、お前のボディタッチは関係ねぇだろ」


俺の怒りはどんどん沸点に近づいていく。

そんな俺の様子を見た桜子ちゃんはすぐに仲裁に入る、んだけど


「夏樹くん、ごめんね
快斗、また連絡するから」


……普通に、風間の味方。
俺を宥めることすらなく、風間と消えていった。


「…、んだよ!!」


「おーおー、キレてるねー」


ムカつきすぎて、壁を殴ったら
また面白そうな笑顔でゆっきーが俺に近づいてきた。


「ま、桜子は美人だからモテて大変だな」

「……モテてるだけならどうでもいいわ」


別に桜子ちゃんが相手にしてなければそれでいいんだよ。
……でも、今の桜子ちゃんは俺より風間で…


「でも、モテてるのは快斗も一緒じゃん?
さっき女たちが快斗も飲みいくって知って喜んでたし?

ま、モテてるだけなら関係ないよな、桜子も。」

「……どういう意味」

「快斗はモテてんのに一途でえらいなって意味だよ」


ゆっきーはそういって、中庭へ消えていった。



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