暴走族に恋をする。



今日で付き合って5年、なのに
桜子ちゃんからはそれに触れられることすらなく、なんなら会話もほとんどなくて

テストを終えた俺は1人、自分の家へと帰っていた。


飲み会の集合は17時。
それまで1人でボーッとしていた。

大学生になってすぐ、遠いわけでもないのに1人暮らしを始めた桜子ちゃんにつられて
俺も、桜子ちゃんのアパートのすぐ近くに部屋を借りた。


だから今日、俺は桜子ちゃんに絶対合鍵を渡そうと準備してたんだけど

……そんな暇すら、全くなくて


「…なんだよ、くそっ」


柄にもなく鍵穴にリボン通したのに

俺ばっか今日を大切にしてて
俺ばっかこんな物まで準備してて

……俺ばっか、こんな好きで


こんな俺が虚しくて仕方なかった。



「5年もたてばこんなもんなのか……」



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