暴走族に恋をする。



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夕方から、大学のやつらとパーっと飲みにいったけど、俺の気持ちは全然晴れなくて


「え、快斗二次会行かないの!?」

「ごめん、ちょいやることあって」


全くと言っていいほど酔えなかった俺は、もう帰ることにした。


「じゃあ私も帰るから~、快斗送ってってよ!」


なんて、たぶん俺の事が好きなこの俺を誘ってくる。
……昔の俺なら、普通にこいつと帰って、普通にこいつとそこらへんでヤってた、けど


「面倒だからやだ、じゃな」


今はもう、あいつ以外触る気にすらならない。

……20時半、か
もうさすがに家にいるよな…




家に帰る気にはなれなくて
やっぱり今日で5年。

せめて一目でも会いたくて
鍵だけでも渡したくて桜子ちゃんのアパートへと向かった。

……けど


「快斗…?」

「……なに、してんの」


アパートにつく前に、俺の会いたかった人と会えた。
……俺の嫌いなやつも一緒にな。


「あ、今帰りで送ってくれるって言うから…」

「……風間と一緒だったんだ?」

「うん、ちょっと…」


ちょっと、な。
その『ちょっと』ってなんなんだよ


「桜子ちゃんさ、今日がなんの日か知ってる?」

「……え?」

「知らないよな。知ってたら……
……知っていながら俺より風間を優先させたなら、さすがに別れるわ」

「えっ……」


"別れる"

俺の口から出ることはずっとなかったはずの言葉が出て、さすがに桜子ちゃんの声が揺れた。


桜子ちゃん、俺桜子ちゃんのこと大好きだけど
……好きだから、許したくないことだってあるんだよ



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