暴走族に恋をする。



「優先させたっていうか…」


揺れた声で桜子ちゃんがそんなことを言う。
その続きは言わなくてもわかる。


"先に約束したから"


そう、言いたいんだろ?でもさ……


「……弁解してるつもりかもだけど、無意味だから」


今日くらい、言わなくたって
俺が誘わなくたって俺と過ごしてくれるもんだと思ってたよ


「最近俺といたがらないし、風間ばっかじゃん」

「だから、夏樹くんとは勉強のことで…「そこのポジションには前、俺がいたはずだけど」


知ってるよ。
桜子ちゃんはいつだって勉強が一番だった。

……だけど、勉強の時間だって俺といた。
勉強の時間を削っても俺といてくれた。

でも、そのポジションに今は風間がいるんだろ。


もう、気づいてないふりなんかできねーよ


「おい、桜子はお前の足のことを思って「その責任感で一緒にいるのはやめろと言ったよな」


俺はなんにも後悔してねぇんだから、責任感じるなってあの日言ったろ。
責任感で一緒にいられるのが嫌だからって、俺は一回お前に別れ告げたんだろ

忘れたのかよ。


「……気持ちが薄れてんなら、そう言えよ」


もうこいつらを見てるのが嫌で、苦しくて

そういって俺は二人を通りすぎた。


「快斗待って!」


そんな声が後ろから聞こえるけど、そんな声に足を止める俺はもうやめた。

……もう、無理だってわかったよ


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