暴走族に恋をする。



「……快斗…」


顔は見えないけど、声が濡れてて
きっと泣いてるのかなと思うと俺の心はすぐに揺れちゃって

……でもやっぱ、好きだから許したくなくて


「帰れよ」


「快斗……」


俺はもう、突き放すことにした。


「お願い、話を「俺の方から別れてやるよ」


「え……」


「そしたらもう、話すことなんかないだろ
さっさと帰れよ」


「快斗、待って」


「もう待ったよ」


「え…?」


「俺はずっと、何日も何週間も前から今日を待ってた。



そんなこと、桜子ちゃんからしたら知らないことだろうけどさ
今日どこにいこうかとか考えたり、わざわざ合鍵作りにいったりさ

俺なりに、桜子ちゃんのために準備して今日を待ってたんだよ。


……まぁ、出掛けることはできなくなったけどさ
他の男と出掛ける暇があんなら、少しくらい俺のこと考えてほしかったよ


「……もう帰れよ」


そういって、俺はリビングに入って
外にも聞こえるくらい勢いよくドアを閉めた。


こんなことで腹立って彼女許せない彼氏なんて、桜子ちゃんには似合わないもんな




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