暴走族に恋をする。



それからは少し早いけど、俺は一人でバスへ戻った。

バスの中にはすでに数人いて、俺は指定された席へと座ろうとすると、後ろに早坂が座ってるのが見えた。
その席は山田のとなりの席で、桜子ちゃんの席に。


……さすがにもう俺のとなりには座らないってことか。

あれ、待てよ?
早坂が山田の隣ってことは俺の横には……桜子ちゃん?


まじか!やったね!!
早坂ナイス!!

早く桜子ちゃん戻ってこないかなー。


……あ、涼介の連絡先聞いとけばよかったなー。


「えっ…」


なんて一人で浮かれていたら桜子ちゃんが戻ってきていて、早坂の座ってるところを見て固まり、かと思ったら今度は俺を睨んだ。


「……またあなた?」


「別に俺が指示したわけじゃないし!
本当に!」


俺がそういうと、桜子ちゃんはもう一度早坂の方を見てからため息をつき、俺の方に体を向けた。


「窓側座りたい。」


え。
……え!?桜子ちゃんが俺にお願いした!?
まじで!?


「は、はい!!どうぞ!!」


「うるさっ…」


すぐに立ち上がって席を譲ると、いつも通りすぎる迷惑そうな顔をして俺が座っていた窓側の席に座った。

だから俺もすぐさまとなりに座った。


……かと思えばまたイヤホンを耳につけた。
どうせまた英会話だと思った俺はイヤホンをまた奪った。


「ちょ「I'll speak English.」


「……え…」


「So, try to speak with me?」


俺がそう言うと、桜子ちゃんは固まったまま俺の顔を見た。


「Look in such a fool?(そんなにバカに見える?)」


俺がそう言えば桜子ちゃんは頭を縦に振った。
そんな仕草すら、可愛く見える。

こんなにまともな顔をして俺のことを見たのが初めてだから。


< 34 / 344 >

この作品をシェア

pagetop