暴走族に恋をする。



「ここにいて、私の体が切り裂かれようが別にいいよ
そんなことより、このまま快斗と別れる方がよっぽど嫌だから…」


いつもと違う、よれよれの桜子ちゃんは本当に別人で
あんなに強気な桜子ちゃんとは思えないくらい、泣きそうな声で、泣きそうな顔で俺に強く訴えた。


「ごめん、謝るから…別れるとか言わないで」


「……とりあえず入って」


なんつーか、人の目もあるわけで

俺は桜子ちゃんのことが大好きなわけだから、桜子ちゃんからそんなことを本気モードで言われたら

内心、かなり浮かれモードというか
昨日、俺から別れるとか言っときながら、どこかで期待してる俺は

"桜子ちゃんとの今後"を考えたら、変な噂をたてるわけにもいかなくて


昨日帰れとか言ってたくせに、あっさりと部屋へあげた。


・・・俺の意思の弱さな。



「あの、快斗」

「……話、聞くから

座れば」


ここまで俺がさっぱりしてるのもかなり珍しいんだけど
内心、ちょっと浮かれてる俺もいるのは事実なんだけど

それよりなにより
こんな簡単に許しちゃダメだ!!!


という決意から、とりあえず必死。
俺の内心隠すのに必死。


「あの、ね
……ごめん。私、昨日記念日だって知ってた」


「は?え、それなのに風間優先したのかよ」


一旦落ち着いた俺の怒り。
……なのに、また俺の中の黒い部分が沸々と浮き上がる。


「……ごめん
でも、どうしても他の日だとなかなか都合がつかなくて」


「なに、」


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