暴走族に恋をする。

「夏樹くんのお兄さん、下半身麻痺で…」

「へー、それで？」

「だから、その…
い、家の様子とか見たくて…」


は？家？…ってことは


「風間んちに行ったってこと、だよな？昨日」

「うん、そうなんけど「、ざけんなよ」


は？家とか意味不明なんだけど。
あいつ男なのに？…危機感、足りなさすぎじゃね


「快斗お願い、聞いて」


「…わかったから、話せよ」

「……ありがと」



ケンカなんて、これまで何回もしてきた。
言い合いもあったし、俺が一方的にも、桜子ちゃんが一方的にもあった。

…でも、桜子ちゃんがこんなに懇願してるところも見たことないし
…こんな、俺に必死な表情も見たことがなくて


怒ってるのは俺なはずなのに、俺の方がどうしていいかわからなくなってきてて
なんか、許したくなっちゃってる俺がいて
でも、許すもんか！！って俺もいて

どうすればいいのか、俺がわからなくなってきている。


俺、ちゃんと怒れてんのかな…


「でも、家ってなるとやっぱ抵抗があって
だから、夏樹くんの彼女も一緒に行こうってなったんだけど、なかなか日があわなくて…」


・・・ん？あれ、俺の聞き間違え？

"夏樹くんの彼女"？


「…え、ちょ待っ…
え、風間の彼女？風間に彼女がいんの？」


「えっ、え？し、知らなかった？
法学部の子だけど…」


え！？え、誰だ…？

い、いや！！誰でもいい！！問題はそこじゃねぇ！！


「風間って桜子ちゃん狙いなんじゃ…」

「・・・は？」

「いやだっていつも一緒にいるから…」

「だからそれはゼミが一緒だから…
……あぁ、そういえば
夏樹くんがその彼女と付き合う前、仲良くなるために共通点ほしくて快斗を利用するとか言ってたけど」


は！？いや、俺知らねぇし！！
つーか彼女法学部の誰なんだよ！！