暴走族に恋をする。
同じ制服を着たその女が忘れられなくて
あの優しく微笑んだ顔が忘れられなくて
その公園で、しばらく猫とじゃれていた。
「…………お前、俺んち来るか?」
「ニャー」
…………俺、なんかすっげー恥ずかしくね?
猫に話しかけてて…
ま、いいや。
「ちょっとここで待ってろよ?
すぐ戻ってくるから。」
とりあえず鳥に襲われないように子猫を公園のトンネルに隠し、すぐそこのコンビニに向かった。
と、その前に母さんに電話しよ。
『プルルル…プルルル…もしもし?快斗?』
「あ、俺。
ねー、猫拾ったんだけど。取り来てくんない?」
『え、猫?あんたってそんな性格だったっけ?』
「別にいいだろ。
学校横の公園にいるから。」
『はいはい、わかったわよ。』
母さんは父さんと違って超お気楽人間。
なんで父さんと母さんが結婚したのか不明だけど、俺は絶対母さん似だ。
…さてと。
「すみませーん、ミルクってありますかー?」
コンビニに入るなり、探しもせずに店員に聞いた。
「ミルクとは…牛乳でよろしいですか?」
ミルクと聞いてんのに、牛乳でいいのかと聞き返してくるとんちんかんな店員にイラっとする。
「いや、赤ちゃん用の粉ミルクだけど。」
「あ、すみません。
あちらにあります。」
普通わかるだろ、ったく。
えーと、スポイトは…ないか。
なら紙皿だな。お、深めのもあるじゃん。
これでよし、だな。
俺は粉ミルクと紙皿を買って、
たぶんコーヒー用のだろうけど、カップにお湯を入れて、水も混ぜて温くして
さっきの公園へと戻った。