暴走族に恋をする。
「………私、あなたたちと友達になりたいです。」
少しだけでた涙を拭い、私は黒崎くんから離れて、目を見てそういった。
その言葉に黒崎くんは少し笑った。
「友達っつーのはいつの間にかなってるもんなんだよ。」
そういって。
「だってさっきは仲間だなんて思ってないって。」
「それはお前が素直じゃないからだろ。
いつまでたっても進歩しねーから。
まさか帰るほど傷つけるとは思ってなかったけど。」
「別に傷ついてません。」
「ほら、すぐ強がる。
でも悪かったな。」
「いえ。
………ありがとうございます。」
「つーかさ、その敬語どうにかなんねーの?」
「………気を付ける。
なんか癖になってるんです。
私はこんなにしっかりした人間だと見られたいがために。
…実際はそんなことないのに。」
「次敬語使ったらデコピンな。」
「えぇ!
…っていうか、黒崎くんのデコピン強すぎだし…」
「タイマン張ろうとしてたやつがよく言うわ。」
「だって…」
「どうせ、素直に友達になりたいって言えなかったからだろ。
俺はわかってやったからいいけどな、言わなきゃわかんねーやつもいるからな。
快斗みたいな。」
「え?」
「暴走族嫌いとか言ってるくせに、快斗から離れないのはもうすでに好きになってるとかじゃねーの。」
「えっ!」
「………当たりかよ。
だけど素直になれねーのはまだ信じきれてないから、か。」
「…簡単に好きでもない人とキスするような人ですからね。」
「へー、そういうやつなのは知ってんだな。」
「さっきゆっきーさんから聞きました。
現場も見たことがあります。」
"誰にでも"の優しさはいらない。
私は、私だけへの優しさがほしい。