君が笑顔でいる未来なら
〜出会い〜
ピピピ…ピピピ…
深く沈んだ意識の中で、遠くから目覚ましの音が聞こえる。
ああ、もう朝か。
「……うっ…さい…」
意識がゆっくりと浮上するに連れて、私は無意識に重い腕を持ち上げて目覚ましを止めた。
数秒後に意識は表面上に浮き上がり、目を開ける。
「………」
まだはっきりとしていない意識で起き上がり、ぼぅ…としながら頭の整理をする。
今日は…水曜日…。
この前春休みが終わって…。
「……………私は…鈴原、梨奈…」
自分の名前を呟き、やっと意識がはっきりしてきてホッと息をつく。
――あの日から、起きたら自分の名前を呟くのが癖になってしまった。
自分の存在を、確かめたくて…。
目をこすりながら、さっきの夢を思い出す。
途中まではいつもと同じ夢。
でも、今日は違う人物が出てきた。
「あんな子、会ったことあったっけ…?」
いや、全く記憶にない。
でも会ったこともない人が夢に出てくる訳ないし…。
「…ま、いっか」
考えてもしょうがないとため息をつき、ベッドから立ち上がった。
そのまま棚へと近づき、ペンダントを手に取る。
青い石のついた、ペンダントを。
「………」
しばらく見つめた後石を握りしめ、そのまま首へと掛ける。
「……行くか、学校に」