TUG of WAR ~恋のつな引き~
やっぱり先生のことが心配だもん。



『いや、お前が移したわけじゃないから大丈夫。その前から少し体調悪かったから。
でももう良くなったか…ごほっ…良くなったからいいよ。』

「咳してるじゃないですか。」



声だけでも先生が辛そうにしているのが伝わってくる。



『でも、ここまで来てくれた気持ちで十分だから帰って。
会うとお前に風邪移すから。』



……移ったのは私のせいじゃないと言っておきながら
自分は移すからという理由で返すだなんて。



「けれど、先生に渡したい物があるんで少し会わせてください。」

『ドアの前に置いてくれればいいよ。』



病人相手にこれ以上無理言っても余計体調崩しだろうし仕方ない。



「……分かりました。
ゆっくり休んでください。」



そう言い私はドアノブにビニール袋をかけて帰……りはしなかった。

迷惑なのは重々承知だけど、
ここまで来たんだから一瞬でも先生に会いたい。
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