TUG of WAR ~恋のつな引き~
「お礼くらい言ってくれたっていいのに。」



私はドアの向こうにいる先生に向かって吐き捨てた。



家に帰ってきてからも、ずっとむかむかしていた。

一瞬でも会いたいって思ったのは自分の方なのに、
いざ会えると欲張りになってしまう。

側から見れば私の方が明らかに我儘なのに。



「ふう……。」



ため息もつきたくなる。



プルルルル プルルルル



「誰からだろう。」



家にいるのに電話がかかってくるなんて珍しい。

携帯電話の画面を見ると、
そこには瀬名先生とかいてあった。



「え、嘘!」



思わず大きな声を出してしまうくらいびっくり。

先生自ら電話くれるだなんて!

何回も深呼吸して心を落ち着かせてから
応答の文字を押す。
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