TUG of WAR ~恋のつな引き~
「はい、もしもし。」

「あ。瀬名です。荷物ありがと。」



電話越しとは言え、
ここまで真正面からお礼を言われるととてもドキドキする。

さっきまで散々素っ気なかった癖に、という考えも吹っ飛んでしまうくらい。

私の返事も自然と柔らかくなる。



「いえ。それどころか急に家に押しかけてごめんなさい。」

「いーよ謝らなくて。
それと……手紙も読んだ。」



そう。

あの荷物の入ったビニール袋の中に、
手紙を入れておいたのだ。

前に授業の雑談か何かで料理が苦手って先生言っていた気がしたから、
ネギを使った料理とか体の温まる料理をいくつか手紙の中で紹介してみた。



「今まで自分ひとりっきりの時に体調崩したことなかったからさ、助かった。」

「……そんなこと言うなら、さっき私に頼ってくれてもよかったじゃないですか。」



私の中ではあれだけで先生に全て尽くしたとは思っていない。

できれば直接何か手伝いたかった。

さっきの様なむかむかではなく、悲しみが私を襲う。
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