TUG of WAR ~恋のつな引き~
「俺がもし新沼と同じ高校生だったら頼ってたかもなー。
それでお前の優しさに惚れてるな、きっと。」



そう言うと先生はははっと軽く笑い声をあげた。




────残酷だ、現実は。

先生がもし私の同級生として出会っていたなら、今頃両想いなのかな。



「でも、俺は教師だから、さ。生徒に惚れたらダメな立場なんだよ。」



やめてよ、現実を突きつけないで。

携帯電話を握りしめる力が強くなる。



「だから、俺みたいな教師じゃなくてお前の好きな相手にそういうことしてあげな。」


ツーッ ツーッ


現実を受け止められるほど私は強くなくて、電話を切ってしまった。



「だったらここまで好きになる前に突き放してくれれば良かったのに……。」



でももう手遅れだ。

こんなにも先生のこと好きになっていただなんて。

どんな態度を取られても心の中でずっと思っていた。


『少しは特別な存在として見られているんじゃないか』って。


けれどそれはどうやら思い違いであった。


< 127 / 368 >

この作品をシェア

pagetop