TUG of WAR ~恋のつな引き~
「そうだね。頑張って行ってくる。」



ただの先生と思って接しよう。

放課後、私は生物準備室のドアをノックした。



「どうぞー。」



瀬名先生の声がとても懐かしく感じる。



「失礼します…。」



部屋に入った途端、先生と目が合った。

椅子に座るように促され座ると、先生は口を開く。



「もしかして何かあった?授業休んだから出にくいとか。」

「まあ…そんな感じですね。
得意な科目だけあって分からなくなるの悔しいですし。」



意外と嘘ってすらすら言えるものなんだなと空しくなった。



「そっか。三野谷とかにプリントもらったの分からないところあった?」

「そう…ですね。」

これも嘘。

本当はプリントみて自分で勉強すれば一通りは理解できた。
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