TUG of WAR ~恋のつな引き~
そんなの、現実を突きつけられたからに決まってるじゃない。

先生だって、好意持たれてるのを迷惑がってあんな発言したんじゃないの。

私にわざわざ言わせないでよ。



「そ……それは、電源切れちゃったからです。
ごめんなさい、謝るの遅くなって。」



必死に嘘をつこうとしたら声が上ずってしまった。



「……そっか。ごめん、こんなことで呼び止めて。
ただ、何か癪にさわることしたかなと思ったから聞いてみただけだから。」



またもや嘘がまかり通ってしまった。


けれど、ほんの少し期待していた。

『本当は別の理由があるんじゃないか』って言ってくれることを。

その想いとは裏腹に、先生は疑う素振りを全く見せない。



「先生。私からも一つ質問いいですか。」



いいよね?



「何で瀬名先生はそんなに優しいんですか。
車で送ったり元彼から私を守ったり見舞いのお礼を電話してきたり。」



その優しさの真相を教えてよ。
< 131 / 368 >

この作品をシェア

pagetop