TUG of WAR ~恋のつな引き~
「もう遅いよ、優佳。」



ドアを開けると、舞が待っていた。



「ほら、バッグの忘れ物。」

「あーそうだ、教室に忘れっぱなしだった!」



先生と話することに意識がいきすぎて、
バッグの存在すら忘れていた。



「もうドジだなー。さっき話したことも3分後に忘れてるんじゃないか?」

「それはさすがに忘れないですー!」



久しぶりに先生にからかわれた気がする。

先生のそのバカにした笑いさえ今では愛おしい。



「じゃ、また明日な。」

「はい。」



いつかこの挨拶すらいらないくらい毎日共に過ごすことが日常となってほしい。


そう願いながら先生の方を向き、
他の人には見せない先生だけへの特別な笑顔を見せた。






【 fin. 】
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