TUG of WAR ~恋のつな引き~
「いいんですか?ありがとうございます。」



まさか先生からジュースが貰えるとは……!



「いーえ。お中元でもらったジュースがかなりいっぱいあってさ。」

「そうなんですか?どうりで初めて見たと思った。」

「確かにそこら辺じゃ売ってないからな。でも、これ美味しいから飲んでみ。」



先生は歯をにっとみせながら無邪気な笑顔を見せた。


……そういうところずるい。

きっと無意識なんだろうけれど、
たまに見せる先生らしくない笑顔に何度騙されたことか。



「先生、そんな無邪気な笑顔みんなに振りまいてたら奥さん嫉妬しますよ。」

「大丈夫大丈夫。嫉妬は愛情の裏返しだから。」



そして先生はまた奥さん大好きアピールをする。



「そう思っててもいつか愛想尽かされるかもしれないよ、先生。」



いじめたくなって、先生を脅してみた。



「そんな不吉なことか言うなよ。怖いから。」

「じゃあもしそれで離婚したら私を奥さんにしてくださいよ。」

「俺が100歳まで生きたら結婚考えるわ。」



やっぱり先生はそうやって肝心なところは間接的に拒否する。

……絶対先生が私に振り向かないと分かっていながらも、
私は先生とこうして話せることが幸せで心地いいと思ってしまう。


しかし、それは急に終わりを迎えることになってしまった。
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