TUG of WAR ~恋のつな引き~
……悲しいけれど、一時的な憧れだったのかもしれない。優佳にとっての俺は。


女子高生ではよくあることだとずっと思っていたし、現に卒業間近で告白してくる生徒にはそう言い続けた。

でもいざ自分が当事者になってしまうと、それが如何に残酷だか思い知る。



優佳、お前も結局その1人だったのか…?



あんなに楽しそうな顔して話してたのに。

俺がどんなに傷つけても好きだと言ってくれたのに。

俺のからかいを迷惑がりつつも嬉しそうにしてくれたのに。

あの頃の優佳はもういないのか……?



「瀬名先生?どうしたんですか、ぼーっとして。」



目の前の生徒が俺に話しかける。



「ん?……ああ、ごめんごめん。
お前たちとの出来事を思い出しちゃったわ。」



本当はお前たち、とは言っても9割優佳だけどな。



「先生まさか泣いたりしないの?」

「ここでは泣かないけど心の中は泣きそうなくらい寂しいからな!」

「え〜泣いてるとこみたかったー。」
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