TUG of WAR ~恋のつな引き~
俺だって分かる。

どう足掻いても手の届くはずのないことが分かり、諦めざるを得なくなった時の虚しさや哀しさ。

俺は更に強く抱きしめた。

涙でこのコートしばらく使えねーじゃんかって気持ちさえどうでもよくなるほど、優佳の気持ちを吸い込むかのように。


その後、俺たちは再び車に乗った。



「あれ、これ私の家と方向反対じゃないですか?」



土地勘が強いのか、割とすぐに優佳に気付かれた。



「ああ、そう。まだ寄るところあるから。」

「えっ本当に!?」



優佳は嬉しそうな顔を見せる。

そんな顔を見てもさっきの進路報告のおかげか、いくらか自制できるようになった。


わりとすぐに目的地である俺の自宅に着いた。
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