TUG of WAR ~恋のつな引き~
「同居人って……当時の彼女?」

「まあな。って何、嫉妬?」

「嫉妬じゃないです。ただ同棲してるのが羨ましいなってだけで。」



優佳は口をへの字にして小さな声で呟く。
あと1分もすれば自宅に着くというのに己に負けそうになったが、必死に平静を保つ。

「そうだ、お前大学どの辺なの?」

「割と都心の方。だから自宅から1時間半くらいはかかるかなー。」

「だったらここ住んじゃえば?」



半分本気で質問する。
俺はポケットの中から鍵を見つけてドアを開ける。

優佳の方をちらっと見ると、案の定目を見開いて驚いていた。



「い……いや、確かにここからだったら近いけど両親にどう説明したらいいか困るし……。」

「ま、半分冗談だから安心して。同棲までしなくたって会おうと思えば全然会えるし。さ、上がって。」

「……うん。」



そして俺たちは靴を脱いで部屋に入った。

既に今日何回もキスをしているのにも関わらず、誰にも邪魔されないこのワンルームの密室で二人きりとなると緊張する。

優佳は周りを見渡して先生らしい部屋だね、と呟いた。



「とりあえず、そこのソファ座ってくつろいでて。」



俺はそう言い、とある準備に取り掛かった。




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