TUG of WAR ~恋のつな引き~
「でもこうして新沼と和解できて良かった。
……って長話してごめんな、テスト前なのに。」

「いえ。先生が腹を割って話してくれて良かったです。」



お礼の気持ちを述べた矢先に、
先生の腕にホコリがついてるのがふと気になった。



「あ、先生腕にホコリが。」



そう言いながら埃を取ろうとしたらひょいと除けられてしまい、先生は自分で埃を取った。



「ありがと。」



……なんだかなあ。

和解できて先生に一歩近づけたと思ったのに。



「じゃ、暗くなってきたし気を付けて帰りな。」



そう言い、私の肩に一瞬だけ手を置いて先生は生物準備室のドアを閉めた。
先生の手はもう私の肩にはないはずなのに、何故かそこだけ熱を帯びていた。


……私には決して触れさせない癖して
自分はさりげなくボディタッチするだなんてずるい。

私はこの何とも言えないモヤモヤとした感情を、
閉められたドアに向かって視線で投げた。




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