群青色、君の色。
歩き始めて数分。駅に着いた。
JR線のホームでスマホをいじりながら電車を待つ。
「藤崎?」
ふいに名前を呼ばれて驚きながらも声の方を見た。
そこにいたのは……
「難波さん⁉︎」
九月だというのに難波さんは手にジャケットを持っていた。もちろん、ネクタイもきちんと締めてある。
「学校帰り?」
「はい。難波さんはお仕事帰りですか?」
「いや、取引先から会社に帰るところ」
なるほど。だからこんなにしっかりした服装をしているのか。
「まだお仕事あるんですか。大変ですね」
私はいまから家に帰れるというのに。
「まあこれで給料もらっとるけんね」