恋は世界の片隅に【短編集】
公にしないほうが良いと言い出したのは、春くんだった。
理由は、面倒なことになるから。
そのときのあたしは浮かれていたし、例え秘密の関係でも、気持ちが通じ合ってれば満足だった。
……けど。
今は、違う。
春くんを好きになればなるほど、不安に胸が押し潰されそうになるんだ。
春くんが他の女の子と喋ってても、何も言えない。
休み時間や昼休みに、春くんを独り占めすることも出来ない。
いつしか、あたしの不安は春くんへの不信感に変わってしまったんだ。