恋は世界の片隅に【短編集】



「……ねぇ、春くん」



週に一度のデートの日。

あたしは、意を決して問いかけることにした。


「ん?」


あたしの気持ちなど知るはずもない春くんは、呑気にテレビを観ながらケラケラ笑ってる。


「……あの、ね。実は、気になってたことがあって」

「……どうした?」



何かを読みとったのか、春くんは急に真剣な顔つきになってあたしの目を見つめてきた。


「怒らないで聞いてくれる…?」


「えっ……待って友梨。なんか怖いんだけど」


「春くん……。あたしって、そんなに恥ずかしい存在かな?」


「……は?友梨、お前何言って」


「確かにあたしは地味だし可愛くないよ?」


「ちょっと待って、友梨。ちゃんと話を…」


「でも……だからって、堂々と隣を歩いちゃいけないのかなぁ……」



ダメだ。

今まで溜まっていた不安が、いっきに押し寄せてくる。


春くんを傷つけたくないのに、止まらないよ……。



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