恋は世界の片隅に【短編集】
嫌だった。
離れたくなかった。
だけど私に、隼人を引き止める理由なんて無い。
「しばらく会えなくなるな」
「……うん」
私たちは、友達以上恋人未満の関係だったのかもしれない。
私は隼人が好きだったし、隼人も私を好きだった。
けど、肝心な言葉は口にしない。
あの頃の私たちは、恋愛に臆病すぎたんだね。
たった一言で、幼馴染みの関係が崩れることを恐れてた。
だから私は隼人に、
「行かないで」
が言えなかった。