恋は世界の片隅に【短編集】
「おい佐伯、進路希望のプリント、今日までなんだけど……」
「うっせぇな!まだ考え中なんだよっ」
怒鳴るようにわめきちらす佐伯に圧倒されて、俺はズサッと後ずさりした。
なんだよ……
なんでコイツは、こんなにワガママで自己中心的で乱暴なんだ?
俺だって好きで話しかけたわけじゃない。
仕事なんだよ、仕事!
「……奥山君、そのプリント、有紗に貸して?」
「あ、有紗ちゃん!」
溜め息をはいていた俺の前に、天使が舞い降りた。
同じクラス委員の、羽田有紗ちゃんだ。
サラサラな黒髪にベビーフェイスが、たまらなく可愛い。
背も小さめで、まるでお人形さんみたいな女の子。