恋は世界の片隅に【短編集】
「は、はい……」
「ありがとう」
プリントを渡すと、有紗ちゃんはニコッと微笑みながらそれを受け取った。
まさに…天使の微笑み。
そのままどこに行くのかと思いきや、なんと、有紗ちゃんはあろうことか、あの男の席へと歩いていく。
「あっ…有紗ちゃん」
「なーに?」
スカートを翻して、有紗ちゃんが振り返る。
俺はドキドキを隠して有紗ちゃんに告げた。
「あ、アイツのところには行かないほうがいいよ?」
そのほうが君の為なんだ。
俺は、アイツに怒鳴られる有紗ちゃんを見たくない。