恋は世界の片隅に【短編集】
しかし、俺の予想に反して、アイツの反応はなんともまぬけだった。
「ズ、ズリィ奴……」
おい佐伯!
いつもの威厳はどうしたっ!!
さっき俺に怒鳴ったみたいに、あの調子で返してみろよ!
「ふふっ。じゃあ有紗、そろそろ戻るね」
「あ、あぁ」
「書けたら放課後、有紗のとこに持ってきて?
そのとき、答え教えてあげるっ」
「わぁったよ」
有紗ちゃん……
君は…策士だったのか!
あえて正解を言わないことで、佐伯の興味を引き付け、プリントの入手にこぎ付ける……。
素晴らしい!
素晴らしいよ、有紗ちゃん。