恋は世界の片隅に【短編集】
夏の時間【完】
「……ただいま」
「おかえりーっ」
「おかえりって、あんたここ誰の家だと思ってンのよ?」
………またか。
あたしは溜め息をつきながら、畳の上に大の字をかいている駿太を見下ろした。
「だって小春んち、涼しくて快適なんだもん」
「だからって、毎日毎日人の部屋に入り浸るな!」
幼馴染みである駿太は、家のクーラーが壊れていることを理由に、夏休みのほとんどを私の部屋で過ごしている。
いい加減修理に出せよと言っても、お金が無いだの時間が無いだので、結局は人様の部屋に上がり込んではくつろいでるんだ。