恋は世界の片隅に【短編集】
何度も何度も、水で顔を洗った。
今のは聞き間違い!
ありえない!
駿太が……私を好き、だなんて。
ありえないっつーの!
すっかり冷えた頬を、あたしは両手でパンパン!と叩いて気を引き締めた。
そうだよ……。
さっきのはきっと勘違い。
駿太に限ってありえないよ。
…でも。
…だとしたら。
あたしはとんでもない聞き間違いをしたことになる。
うん、きっと疲れてるんだ…。
しばらく頭を冷やしたあたしは、真意を確かめるべく、再び駿太の眠る2階へと向かった。
聞き間違いだ、と何度も自分の胸に言い聞かせて――。