恋は世界の片隅に【短編集】
もう少しで唇が重なる、その時。
「……ゴクッ」
――駿太の喉が鳴った。
慌てて目を開けたときには、
時既に遅し……。
「……ッ!!」
驚きのあまり、声が出なかった。
真下には、目を見開いたまま硬直する駿太がいたのだから。
「…ちっ、違うの!これはっ」
慌てて後ずさりするあたしを、駿太はただ呆然と見つめたまま。
もう駄目だ……。
あたしは、取り返しのつかないことをしてしまった。