恋は世界の片隅に【短編集】
けれど。
次に駿太が発した言葉は
「……小春、おいで?」
今まで聞いたことのない、優しい声であたしを呼ぶ駿太。
一瞬ためらったけど、あたしの体は素直だった。
ゆっくり、ゆっくり、
駿太に近づいてゆく。
……ねぇ、駿太。
あたし、アンタにキスしようとしたんだよ。
怒らないの? 駿太?
駿太の手が、あたしの頬に触れた。
そして――
「……小春、続き、して?」
あたしの耳元で、駿太は確かにそう囁いたんだ。