恋は世界の片隅に【短編集】
寝ぼけてるんだ、と一瞬考えた。
けど、さっきの駿太の驚いたような顔……
あれは、寝ぼけてなんていなかったはず。
いろんな思考がぐるぐると廻るなか、気がつくとあたしは駿太の腕の中にいた。
目の前には、厚い胸板。
小さい頃から知ってる、駿太の匂いに包まれる。
ドクンドクンと、駿太の鼓動が伝わってくる。
しばらく何も考えられなかった。
思考がストップした。
そんな感じ。
「……これ、夢なのかな?」
ふいに、駿太が呟く。
静かに耳を傾けるあたし。
「夢でもいいや。こうして小春に触れることができるなら」
………駿太?
今、なんて言ったの?