*オレを嫌いなキミが好き。*日本一(ピュア)の総長 × 日本一暴走族嫌い女子*





机とイスが置いてあるのは教室を出て、ずーっと歩いて階段を昇って曲がった反対側の隅だ。

そこまで一人で行かせるのは可哀想か…………。

仕方ないから、案内ついでに私も竜憧くんと一緒に向かうことにした。

…………にしても背が高い。並んで歩くと如実にわかる。

160㎝の私でも、彼の顔を見上げるくらいだ。しかも座ってる時は気づかなかったけど、脚も長いし頭も小さい。

さっちがカッコいいって褒める気持ちも分からなくはない。

前髪に隠れて、肝心の顔はよく分からないけど、全体的な俯瞰は良い。顔を見なくても、じゅうぶん"雰囲気イケメン"のオーラを全身から醸している。

まぁ仮に、実際どれほどのイケメンだとしても、不良なんかじゃ微塵も興味がわかないけど。


「あのォ、…………千歳さんていうの?」

ずっと黙っててくてく歩いていたけど、階段にさしかかったところで、彼が呟くように口を開いた。

"すごく迷ったあげくに質問しました"、みたいな口調で。
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