*オレを嫌いなキミが好き。*日本一(ピュア)の総長 × 日本一暴走族嫌い女子*
どんな事情か知らないが、千歳にこんな顔をさせたコイツらが無性に憎かった。
全員ボコボコにしなきゃ気が済まないくらいに─────
「待てよ、女相手に寄ってたかって何キレてンだ?ダセェのはお前らだ」
だが、オレが男のひとりの襟首を掴んだそのとき「警察!」ギャラリーがそう叫んだ。
それと同時に喧騒のなか、かすかにサイレンがオレの耳にも聞こえてきた。
間違いない、パトカーだ。オレがこの音を聞き間違うはずがない。
どうやらホントに誰かが通報したのか。
さもなければ奇跡的な偶然?
「クッソ!」
「邪魔しやがって!テメーどこのガキか知らねーけどこれは貸しにしてやるッ」
「今度ツラ見たら必ずぶっ殺す‼」
男たちが捨て台詞を吐くなか、オレは立ち尽くしていた千歳の腕を引っ張った。
「千歳来い!」
「……ちょ、何で私が逃げなきゃなんないの……!?」
「いいからッ!オマワリは関わるとしつこいから!」
「……ッ!?」
舗道に落ちていた千歳の鞄を拾って、細い路地をめちゃくちゃに走った。