*オレを嫌いなキミが好き。*日本一(ピュア)の総長 × 日本一暴走族嫌い女子*



そして気づけばビルの隙間に、ふたりで抱き合うように身をひそめていた。

なんか、どさくさにまぎれて肩を抱いている。(下心じゃねーよ!)

「たぶん大丈夫と思うけど、人に見られてるから少ししてから帰ろう」

そう囁くと、千歳はオレの腕を勢いよく振りほどいて、こう叫んだ。

「なんで邪魔したの!?」

「邪魔って……」

「助けてなんて言ってない!助けて…………くれたのはわかるけど…………でも頼んでないから!お礼言わないよ!?」

全身を震わせ、なんとか絞り出したような声だ。

おまけに顔は真っ赤、今にも泣き出しそうに見える。

「竜憧くんてお節介なんだよ!ほんっっとに…………お節介っ!」

言葉だけを聞いてれば呆れる言いぐさだけど、腹は立たない。

オレは結局千歳のこういうところが好きなのかも。

「いいよ…………オレが勝手に助けたくなったんだから…………」

「ッ」

千歳の頬がいっそう赤くなった。キッとオレを睨む。

「……竜憧くん、さっきアイツらを殴ろうとした?もし警察来なかったら殴ってた?竜憧くんも…………結局アイツらと同類…………」

「でも!ほっといたら千歳さんヤられてたよ!?」
< 122 / 578 >

この作品をシェア

pagetop