*オレを嫌いなキミが好き。*日本一(ピュア)の総長 × 日本一暴走族嫌い女子*
そして気づけばビルの隙間に、ふたりで抱き合うように身をひそめていた。
なんか、どさくさにまぎれて肩を抱いている。(下心じゃねーよ!)
「たぶん大丈夫と思うけど、人に見られてるから少ししてから帰ろう」
そう囁くと、千歳はオレの腕を勢いよく振りほどいて、こう叫んだ。
「なんで邪魔したの!?」
「邪魔って……」
「助けてなんて言ってない!助けて…………くれたのはわかるけど…………でも頼んでないから!お礼言わないよ!?」
全身を震わせ、なんとか絞り出したような声だ。
おまけに顔は真っ赤、今にも泣き出しそうに見える。
「竜憧くんてお節介なんだよ!ほんっっとに…………お節介っ!」
言葉だけを聞いてれば呆れる言いぐさだけど、腹は立たない。
オレは結局千歳のこういうところが好きなのかも。
「いいよ…………オレが勝手に助けたくなったんだから…………」
「ッ」
千歳の頬がいっそう赤くなった。キッとオレを睨む。
「……竜憧くん、さっきアイツらを殴ろうとした?もし警察来なかったら殴ってた?竜憧くんも…………結局アイツらと同類…………」
「でも!ほっといたら千歳さんヤられてたよ!?」