*オレを嫌いなキミが好き。*日本一(ピュア)の総長 × 日本一暴走族嫌い女子*
「…………ッ」
千歳は感じている。ずっと感じていたんだ。
オレが秘密を抱えていること。
正体を言うべきなのかな……?
こんなに族を嫌ってる子に……?
でも、………千歳のことを知りたいのに、自分は嘘をついたままなんて卑怯だ。
いまのオレは卑怯で、ただの意気地なしだ。
「……………………ははは」
「……な、なに?」
深呼吸、した。
「ううん。ね、千歳さん。この近くに公園あるんだ。ちょっと寄らない?」
ビルの谷間にある広い公園。噴水のそばにあるベンチが空いていた。
「なにか飲む?」
オレが訊ねるも、千歳は首を振る。
「なにか話あるの?」
「…………うん」
ベンチに腰を落として池を眺めた。街の真ん中なのに、ここだけ空気がちがう。
虫の鳴き声が辺りに響く。暗いせいか、池の水は真っ黒に見えた。
けど水は濁っているのに、水面には綺麗な睡蓮が花を咲かせていた。
「竜憧くん…………?」
すべてを話すって、どこから話せばいいだろう…………。