*オレを嫌いなキミが好き。*日本一(ピュア)の総長 × 日本一暴走族嫌い女子*
そっと指を伸ばして千歳の指にふれた。
千歳は嫌がらなかった。
オレとはぜんぜんちがう、軟らかくて華奢な指。ゆっくり、ゆっくりお互いの指をからめる。
繋がってるのは指先だけなのに、まるでひとつの存在になれた気がした。
こうしているとふたつの鼓動を感じる。
ひとつはオレの心臓、もうひとつは千歳の心臓。
はじめは別々だったリズムが、だんだん一つに重なってゆく。
睡蓮が、綺麗だ。
ずっとこうしていたい。
ずっと。
こんなにもそばに、誰かの温もりを感じたことはない。
いまの千歳は拾った仔猫たちよりも温かくて、…………そして震えている。
「………オレのこと怖い?」
「ううん…………怖くない。……………嘘、さっきは少し怖かった……」
「…ゴメン」
「嘘。やっぱり怖くなかった」
「…………どっち」
「私も竜憧くんが好きだよ…………」
「……ッ」
オレの心臓まで震えそうになった。
もっともっと、もっとひとつになりたい。抱きしめたい。
でも仔猫のような千歳を潰してしまいそうで、怖い………………。
しばらく、黙って噴水を眺めた。おそらく、オレが生きてきたなかで、一番優しい時間が流れている。