*オレを嫌いなキミが好き。*日本一(ピュア)の総長 × 日本一暴走族嫌い女子*



真っ暗な室内に廊下の蛍光灯の明かりと、男の影が差した。

仕方なく、重い身体をゆっくり起こす。

「……ンダよ、ほっといてくれねーか……」

「ンなとこ倒れてるから死体かと思ったぜ」

「…………」

「生きてるなら電話出ろよ。お前が会いたがってたヤツ連れてきてやったのに」

そう言って、遠慮もなく部屋に上がり込んだのはタカシだ。

そしてその後ろにもう一人男が……。

狼のように鋭い目付きでオレを一瞥すると、タカシ同様なんの挨拶もなく部屋に足を踏み入れた。

コイツの名は東田朱理(ヒガシダ シュリ)
通称トウタ。

どこのチームにも属していない一匹狼。

だが"族狩りのトウタ"は有名で、街のほとんどの不良から一目置かれている男だ。

そのトウタがジロッとオレを睨んだ。

「さっき外まで奇声が聞こえたが?お前ヤクでもやってんのか」

「……」

久々に再会したのに、挨拶もなく開口一番それかよ。

しかしこっちは疲れていて(主に精神的に)、言い返す気力もない。

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