*オレを嫌いなキミが好き。*日本一(ピュア)の総長 × 日本一暴走族嫌い女子*
とたんに静かだった心臓が、激しく存在を主張しはじめた。
「竜憧くんやっぱり千歳が好きなんだね…」
「……は!?」
小海とは逆に、うっとりしたさっちにしみじみそう言われて、ひときわ胸がギュッと鳴く。
「いいなぁ千歳愛されて」
「何がいいんだよストーカーだぞ!?」
猛烈に噛みつく小海。
「違うよぉー?それだけ本気ってこと」
「世の中じゃそれをストーカーっつーんだよッ‼」
「一緒にしないでよぉ?ピュアな恋なの!ほんきってこと!」
「本気だから怖いだろーが!な!?千歳!?」
「そんなことないって!こんなに強く想われたら女子として嬉しいよね?ね!?千歳!?」
「………………ッ。……えっ…!?」
二人同時に答えを求められたけど、言葉につまる。
分からないよ、自分の気持ちも、竜憧くんの気持ちも。
今日、彼にとても酷いこと言ったのに、なんでそんなに私に構うんだろう…………?
私は彼がよく分からない。
彼がどんなひとでどんな性格で何者なのか、実は何も分からない。
「ね、小海。まえにさ…………"魔陀羅の総長"のこと、すごい人だっ……て言ってたよね…………?」