*オレを嫌いなキミが好き。*日本一(ピュア)の総長 × 日本一暴走族嫌い女子*



とたんに静かだった心臓が、激しく存在を主張しはじめた。

「竜憧くんやっぱり千歳が好きなんだね…」

「……は!?」

小海とは逆に、うっとりしたさっちにしみじみそう言われて、ひときわ胸がギュッと鳴く。

「いいなぁ千歳愛されて」

「何がいいんだよストーカーだぞ!?」

猛烈に噛みつく小海。

「違うよぉー?それだけ本気ってこと」

「世の中じゃそれをストーカーっつーんだよッ‼」

「一緒にしないでよぉ?ピュアな恋なの!ほんきってこと!」

「本気だから怖いだろーが!な!?千歳!?」

「そんなことないって!こんなに強く想われたら女子として嬉しいよね?ね!?千歳!?」

「………………ッ。……えっ…!?」

二人同時に答えを求められたけど、言葉につまる。

分からないよ、自分の気持ちも、竜憧くんの気持ちも。

今日、彼にとても酷いこと言ったのに、なんでそんなに私に構うんだろう…………?

私は彼がよく分からない。

彼がどんなひとでどんな性格で何者なのか、実は何も分からない。

「ね、小海。まえにさ…………"魔陀羅の総長"のこと、すごい人だっ……て言ってたよね…………?」
< 179 / 578 >

この作品をシェア

pagetop