*オレを嫌いなキミが好き。*日本一(ピュア)の総長 × 日本一暴走族嫌い女子*
「まぁ…………昔ほどは酷くないんじゃね?」
「あ、私もそう思う!たまに魔陀羅のバイク見かけるけど、絶対絡んでこないもんね」
「女と素人には手ェ出さないって掟らしいからな」
「で、でもこないだ、"総長は3人くらい殺してる"……とか言ってたよね?それほんと!?」
「……さーね。そういう噂もネットであるにはあるけど。総長はガチのヤバいヤツだって」
「…………で、ででも!誰も総長の顔見たことないんでしょ!?」
「どーしたんだよ千歳?」
いよいよふたりがおかしな顔になったけど、私は答えなかった。
もし、竜憧くんは魔陀羅の総長なんだって……って言っても信じないだろうな。笑って終わりだろうな。昨日までの私と同じ。
「……」
またちらっと竜憧くんの背中を見た。うなじにかかるグレーの髪が、風に揺れている。
彼は今なにを思ってるんだろ。
どんな顔でそこに立ってるんだろう……。