*オレを嫌いなキミが好き。*日本一(ピュア)の総長 × 日本一暴走族嫌い女子*
「おい、千歳。廊下でそんな大声で魔陀羅ディスんなよ。信者に聞かれたらどうすんの?ほんと…お前にゃヒヤヒヤさせられるよ」
小海は腕組みして、片足で床をトントン鳴らしながらこうつけ加えた。
「…………ま、オレは"雷怒"派だからいーけど」
"雷怒"(ライド)
たぶん関東で、いや日本で唯一魔陀羅のライバルといえる暴走族チーム。
人数は決して多くはないけど、その分少数精鋭の武闘派(らしい)
バイクはみなハーレーかアメリカン。黒のライダースに身を包む硬派集団。
最も、私のような善良な一般人は、魔陀羅も雷怒も肉眼で見ることなんかないから噂の真偽は不明。
ある意味どっちも都市伝説レベル。
「あっそ。どっちにしろ私興味ない」
「千歳は小3の頃から暴走族嫌いだもんな」
やれやれって顔で小海はため息。
すると突然、
「ねえ東田さん。オレも東田さんのこと下の名前で読んでいい?」
唐突に竜憧くんが切り出した。
あまりにいきなりで。驚いた私は目を見開く。