*オレを嫌いなキミが好き。*日本一(ピュア)の総長 × 日本一暴走族嫌い女子*



いったい何がどうなって今の流れで"名前呼び"の話になるのか、天然男子の思考回路は理解不明だ。

「……え、……あ、うん、…………え!?」

……でも、

不意を突かれたせいなのか、自分でも分かるくらいあたふた動揺してしまった。

なんかほっぺが熱い。

でも竜憧くんは、全くもって落ち着いている。

「さっきも言ったけど、東田って知り合いと同じ名前なんだ。だからそう呼ぶとどうしても思い出しちゃうから」

「……………………あ、そう」

なんだ、そんな理由か。

いやなんで突然名前の話?

その"知り合い"って女の子?

"思い出しちゃう"ってことは今離れてるの?

元カノ?

今彼女いるの!?

なんてことが0.1秒で脳裏を駆けめぐったけど、そんなことはおくびにも出さず棒読みで答えた。

「うん。まぁ、いいよ。名前呼びでも」

「ありがと。……あ、さっき庇ってくれて嬉しかった。それも、ありがとう」

さらっと……そう言い残して、彼は私を置いてすたすたと教室に戻って行った。

灰色の髪が、窓から射しこんだ陽の光りにきらきら反射しながら優しく揺れている。

「……………………」

なんで私あんなよくわかんないやつを意識してんだろ!あほくさ!

内心舌打ちしてると、ジッと湿った視線を横から感じた。小海だ。

何か言いたそうな顔で私を見つめる。

「……な、なに!?」

「顔、真っ赤」



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